各自の志望する資格試験の試験科目を確認した上で、上記a)法科大学院をめざす者で挙げた第1群~第3群の科目を中心に、必要に応じて履修することを勧める。また、司法書士であれば、不動産特別法、消費者取引特別法、成年後見法制、行政書士であればこれに加えて労働法、行政法3-1·3-2などが、実務についた際に有益な科目であろう。資格取得後どのような活動をするのかを考え、履修科目を選定することを勧める。研究者志望の者は、上記a)法科大学院を目指す者で挙げた科目を参考に基本法分野を履修することに加えて、第6群の法哲学、西洋法制史、いずれかの外国法、第7群の外国語文献講読を履修すべきである。どのような法分野を専攻するにせよ、研究者にとって共通の法教養として、我が国の現行制度を相対化するツールとして必要不可欠な科目である。法学分野での学界では、外国法研究能力が研究者の基本能力として求められ、研究者養成大学院入試では、一般に外国語が課される。少なくとも一言語(英·独·仏)についてしっかりとした読解基礎能力を学部段階で身につけることが肝要である。また、自分が学びたい分野に近い教員のゼミ(演習)に所属し、卒業論文を作成することが望ましい。進学の是非、進学先については、分野によって研究環境等事情が異なるので担当教員によく相談すべきである。2.公務員をめざす者、公益的活動をめざす者· 国家公務員、地方公務員といっても、一般行政職、裁判所事務官、警察官などにより試験科目が異なり、それにより履修すべき科目も異なってくる。共通していえることは、どの試験も法律科目以外の教養試験があり、各自対策が必要である(国家試験対策室の各種講座、公務員セミナー、市役所·警察·消防対策講座などを積極的に活用されたい)。ここでは、一般行政職を目指す者を中心に記述し、各職種ごとに必要な補足をする。· 入門、基礎演習、必修科目以外に、以下の科目の履修を勧める。法律科目の試験は、民法、行政法を中心に出題されるので、全分野をしっかりと学んでおくべきである。公務員が扱う事務は、基本的法律分野の基本的かつ正確な理解が必要とされることが多い。第1群:行政法1-1·1-2、行政法2-1·2-2、行政法3-1·3-2、租税法1・2第2群:民事訴訟法1・2第3群:憲法2-1·2-2、契約法2、親族法、相続法、民事執行法1・2、刑法各論1・2第4群:労働法1・2等を中心に興味に応じて。第5群: 政策課題に注目した科目を数多く履修することを勧める。(消費者問題と法、消費者行政法、高齢社会と法、社会保障法、環境問題の展開と法、環境政策と法、成年後見法制など)· 裁判所事務官を志望する者は、第2群で刑事訴訟法1・2も履修するべきであろう。警察官志望の者は、民事訴訟法1・2に替えて刑事訴訟法1・2を履修し、第5群で経済刑法、刑事政策、犯罪学、法医学など、刑事法関係の科目を中心に履修することを勧める。国税専門官を志望する者は、租税法1・2、法人税法1・2を履修するべきであろう。83b) 司法書士、行政書士など法律資格の取得をめざす者c) 研究者志望の者a) 公務員をめざす者
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