2024年度 明治学院大学 履修要項(社会学部)
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119「社会福祉士及び介護福祉士法」(以下法)は、人口の高齢化が進み、家族機能が変化する中で、高齢者、障害者、その他の人々のための社会福祉サービスの需要が高まり、それを支える社会福祉専門職を養成・確保するために1987年に制定された。本学では、本法律の制定以来、「社会福祉士」の養成を行っている。社会学部社会福祉学科の学生が、学科教育方針とそれに伴うカリキュラムに沿って、所定の科目の単位を取得し卒業(卒業見込を含む)すると、社会福祉士国家試験受験資格が得られる。(法第7条第1項)社会福祉士の職務は、「専門的知識及び技術をもって、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整その他の援助を行うこと」(法第2条第1項)である。2007年に「社会福祉士及び介護福祉士法の一部を改正する法律」が公布され、法施行後最初のカリキュラム改正がなされた。そして2019(令和元)年度には、社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会の報告書「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について(以下、「報告書」) 」を踏まえ、地域共生社会の実現を推進し、新たな福祉ニーズに対応するため、ソーシャルワークの専門職としての役割を担える実践能力を有する社会福祉士を養成する必要があることから、厚生労働省による教育内容等の見直しが行われるに至った。前述の「報告書」では、次のようなことが述べられている。①社会福祉士は、高齢者支援、障害児者支援、子ども・子育て支援、生活困窮者支援等の幅広い分野で活用されており、社会保障分野のみならず、教育や司法などの分野においてもその活用が期待されている。②既存の制度では対応が難しい様々な課題が顕在化する中で、社会福祉士には、ソーシャルワークの機能を発揮し、制度横断的な課題への対応や必要な社会資源の開発といった役割を担うことができる実践能力を身につけることが求められている。③地域の様々な主体と連携した取組が必要となる中で、社会福祉士には、地域住民の活動支援や関係者との連絡調整などの役割を果たすことが求められている。つまり、社会福祉士は、解決が難しい様々な課題の解決に向けて、困難を抱えた人を支援するばかりでなく、地域住民や関係者とともに新たな社会資源を開発したり、啓発活動を行うなど環境への働きかけを、高い倫理観と実践力をもって行う専門職であるといえる。なお、社会福祉士の資格を有することで、以下の任用資格も与えられる。知的障害者福祉司、身体障害者福祉司、児童福祉司、児童指導員、家庭支援専門相談員、里親支援相談員、児童生活支援員、児童自立支援専門員、生活支援相談員など。社会福祉士の活躍の場は、高齢者・障害者・児童・生活保護・女性・地域などの福祉分野に止まらず、教育・医療・司法・行政・労働・権利擁護・多文化共生など、多様な分野に広がっている。社会福祉士の資格と職務1.社会福祉士

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